Drug-induced Liver Injury (DILI) Compound Library

医療現場は依然として心毒性、肝毒性などの臓器毒性に代表される医薬品の有害事象に直面しており、特異体質性薬物毒性（IDT：idiosyncratic drug toxicity）は現在でも薬剤開発プロセスにおける悩みの種です。よく知られているものとして、薬物性肝障害（DILI：drug-induced liver injury）はほぼ全ての種類の薬剤において誘発のリスクがあります。薬剤開発の主要な中止理由として前臨床段階および臨床段階の両方で問題となるのは心毒性ですが、一度は承認された薬剤の撤退理由として最も一般的なものがDILIです。これは心毒性の機序に関する理解が進んでいる一方、DILIのリスク予測は不完全であることが原因であると考えられます。

DILIの発生には複数の機序が関与していると考えられています。可能性として肝臓の構造および機能が直接的に受ける障害（例：ミトコンドリア機能障害）、肝細胞の構造と機能に変調をきたす代謝物質の産生、反応性代謝物の産生および肝臓タンパク質への結合により形成される薬物-タンパク質付加体の示す抗原性に対する免疫反応の惹起（ハプテン仮説）、そして全身性の過敏反応（薬物アレルギー）が肝臓に与える障害などが検討されています。

本製品は抗がん剤、抗結核薬などの抗生物質、抗レトロウイルス薬、抗てんかん薬、心不全治療薬など肝毒性を引き起こす1040の化合物からなるライブラリーです。DILIなど薬物による有害事象の研究、DILIの機序研究、DILIの早期予測マーカーの同定、および薬剤開発における毒性のタイムリーな認識によりDILI予防と評価向上を達成に活用していただける構成となっています。