Fluorochemical Library

フッ素原子の特殊性として電気特性および物理的特性を併せ持っていることが挙げられます。そのため、医薬品有効成分（API）に組み込むことでフッ素原子はしばしば標的分子との親和性や親油性に影響を与えますが、元になるAPIと生成されるフッ素化合物との間で分子構造に差異はありません。したがって、フッ素化により薬物のバイオアベイラビリティや代謝安定性に大きな影響を与えることが可能となります。

フッ素が生理機能を調節する上で果たす役割の重要性は、承認薬の中でも含フッ素医薬の存在感が増していることが示す通り、上市薬および農薬の15%から20%にフッ素原子が1つ以上含まれているという事実からも明らかです。2009年時点で、FDAは140以上の含フッ素医薬を承認しており、フルオロウラシル、ミグリトール、ゲムシタビン、ソホスブビル、アトルバスタチン、フルオキセチン、シプロフロキサシンなどが該当します。

APIへの適切なフッ素の導入により分子構造、pKa、薬効、膜透過性、代謝安定性、薬物動態特性に有益な影響を与えることが可能であるため、現在も医薬品産業におけるフッ素化合物の応用が拡大しています。本ライブラリーは、新規の抗がん薬、麻酔薬、抗うつ薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、コレステロール低下薬、抗炎症薬の開発に活用いただけます。また、農業用途においても多くの農薬、殺虫剤、殺菌剤のフッ素化による効力の向上、使用量の低減に向けた研究開発に活用いただけます。