Immunology/Inflammation Compound Library

自己免疫性疾患は、免疫系が誤って自己の健康な組織を攻撃して破壊してしまう状態のことを指します。自己免疫疾患によって影響を受ける部位には、血管、結合組織、関節、皮膚などがあります。19世紀から20世紀にかけて化学的な分野が進歩したことで、非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）が開発されました。NSAIDsは炎症性疾患の治療には有効ですが、潰瘍、腎障害、胃腸管出血などの望ましくない副作用を引き起こすことがあります。

当初、抗腫瘍効果を見出された腫瘍壊死因子（TNF）は、現在では免疫または炎症反応において主要な役割も果たす多機能性サイトカインであると考えられています。そのため、TNFの機能を阻害するよう設計された抗TNF抗体などのバイオ医薬品が、自己免疫性疾患および自己炎症性疾患の治療に向けて開発されました。バイオ医薬品が自己免疫性疾患の治療において成功したことで、基礎研究の急速な進歩と相まって、免疫に関連する多くのシグナル伝達経路の研究が進み、創薬ターゲットとなる細胞内の新規分子が次々と明らかになりました。免疫プロテアソーム、核外輸送受容体、NF-κB、TNF-αを阻害する多くの低分子化合物やマクロライド系化合物は、自己免疫性疾患、自己炎症性疾患や慢性炎症性疾患の治療薬としての可能性が期待されています。