Microtubule-Targeted Compound Library

微小管（microtubule）はα-およびβ-チューブリンのヘテロダイマーからなる円筒型高分子です。微小管は非常に動的な高分子で、その動態は微小管結合タンパク質（MAPs）による緊密な調節を受けています。構成単位であるヘテロダイマーの重合と脱重合によって微小管が伸長と短縮を繰り返すことで、真核生物の細胞分裂において染色体分配が進行する際には染色体の集合と紡錘体の形成を駆動します。細胞の構造維持、細胞分裂、シグナル伝達、細胞内輸送など種々の細胞プロセスにおいて微小管は主要な役割を果たします。

微小管は有系分裂における重要な役割としてダイナミックな紡錘体を形成することから、がん治療薬の理想的な標的とされてきました。微小管阻害薬は現在臨床で使用されている抗がん剤の中でも最も効果的な種類に入ります。その薬理作用は主に微小管の動態を変化させることにあります。微小管の動態が干渉を受けることで細胞周期が停止し、プログラム細胞死であるアポトーシスを誘導する効果を発揮します。微小管阻害薬は二種類に大別され、微小管の動的不安定性をGDP結合型チューブリンによって安定化することで細胞分裂を阻害しアポトーシスを誘導するチューブリン重合促進剤であるタキサン系のタキソール、パクリタキセルやマクロライド系のエポチロンなどと、逆に微小管の不安定性を増大するチューブリン重合阻害剤であるビンカアルカロイド、ノコダゾール、コンブレタスチン、コルヒチンなどが存在します。

本ライブラリーでは微小管を標的とする80化合物を収集しています。微小管に関連する機序研究や薬剤開発にご活用ください。